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2006年11月25日

家族〜妻の不在・夫の存在〜 第六話

ついに離婚調停。いろんな話があり、あっという間の一時間。

森の広場でのお別れのシーン
翌日、また広場。二人手をつないでやってきた。
「悠斗…、悠斗」
亮平の指差す先には理美がいた。
悠斗がゆっくり歩きだし、手が亮平から離れる。
少し離れた時に慌てたように声をかける
「悠斗」
悠斗が振り返ると笑顔だ。
それを見た亮平は笑顔で“行け”と指差す。
「ママ!」
「悠斗!」
抱き合う理美と悠斗。それを見て去っていく亮平。
理美はその亮平を見つめる。

三週間後
機内アナウンス
「みなさまにご案内いたします。
 この飛行機は只今からおよそ十五分で着陸いたしします。
 シートベルトをしっかりとお締めください。
 なお、化粧室の使用はお控えください。
 これから先、飛行機をお降りになるまでの間…」
亮平が海外へ行っていたようだ。

夜、亮平は直接飲み屋へ。
民子「美帆先生とどうなってるのよ?」
津久野「それなりにうまくいってんじゃないですか(笑)」
「ただいま」
「先輩、お帰りなさい」
「どうだ? 変わりないか?」
「ええ、こっちは。
 あっ、先輩、フランスで何の仕事してたんです、二週間も?」
「国際食品見本市。いや、うちの商品、好評だったよ」
「いわしハンバーグですか」
「そうそうそう」
「へぇ。でもバリバリ仕事してる先輩、輝いてますね、
 生き生きしてるもん、ねえ民ちゃん?」
民子は知らん顔
「あ、民ちゃん、俺も同じの(注文)」
民子は知らん顔
「どうしたの?」
「怒ってるんですよ、先輩のこと。
 悠斗を奥さんのところに返したでしょ。
 だから『子供より仕事取ったんだ』って」
気まずい亮平
「あ、先輩、あの…、お土産は?
 俺すっげえ楽しみにしてたんだけど」
「おお、これこれ。
 トリュフを掘る有名な豚(のぬいぐるみ)。
 独り寝はさびしいだろう。これ抱いて寝ろ、な?」

「自分だって独り寝のくせに。っていうか先輩、お土産のセンスないでしょう」
「民ちゃん、民ちゃんにも買ってきたから。
 はい(エッフェル塔の置物だ)」

「ほらっ、やっぱりない! 中学生のセンスですよ、これ」

家に帰った亮平。家庭裁判所からの封筒が届いていた。
調停期日呼出状だ。
「理美さんの強い希望で今日、
 家庭裁判所に離婚調停を申し立ててきました。
 近いうちに呼び出しがあると思います」

それを置いてソファに座り、
悠斗へのお土産の電車のおもちゃを手にする亮平。
「パパ!」
悠斗の声が聞こえ、振り返ると悠斗がいた!
「悠斗…」
「お土産?」
「あ、これ、ほら、フランスの電車、ユーロスターっていうんだよ、
 すげえだろ?」

「すげぇ!」
「だろ、ハハハッ、悠斗、パパ…」
しかし幻だった。

オープニング

保育士「悠斗くん、またね」
理美「ありがとうございました」
さくらんぼ幼稚園をやめて保育園に変えたようだ。

「悠斗、これからさ、新しいおもちゃ買いに行こうか?」
「うん…」
「何にしようか?」


「今日は悠斗の好きなクリームシチューよ、お腹すいたでしょ」
「うん…」
「保育園楽しかった?」
「うん…」
悠斗は元気がない。
「そうだ、今度の日曜日、動物園行こうか?
 それとも鉄道博物館がいいかな?」
黙って一人遊びを続ける悠斗。

夜、雨の中、シンちゃん宅へ向かう亮平。
タクシーが止まり、女の子がシンちゃん宅へ駆け込みノックする。
「よお」
「また来ちゃった」
「また来ちゃった!?」
シンちゃんがその子の肩を抱いて家に入れる。

亮平宅でたこ焼き&タカラ缶チューハイ。
「佐伯さんってあれですよね、幼稚園でボランティアしてる…」
「会ったことあんの?」
「ええ、何度か。
 ああ、そう言えばこの前歌舞伎町のキャバクラで見ました」
「キャバクラ?」
「ええ、なんかね、一人でおっかない顔してるから
 すげえ目立つんですよ(笑)。あれ、間違いなく佐伯さんです」
「まさか(笑)」
「本当ですって。
 あっ、その若い女の子って、店の子じゃないです?
 お持ち帰りしちゃったとか」
「ありえねーだろう、だって佐伯さんだぞ?」
「分かんないですよ、男は。一皮むけばみんな獣ですからね」

喫茶店
詩織「遅くなってごめん、離婚訴訟の裁判が長引いちゃって」
理美「離婚訴訟?」
「もう、ほんとドロドロ。もう愛し合って結婚したとは思えない。
 あ、ごめん」
「裁判になると大変なのね」
「そうよ、大変なの。夫婦が別れるってエネルギーがいるのよね。
 それで、明日の調停、出席できるわよね?」
「休みを取ったわ。調停ではなんて言えばいい?」
「あっ、その前にひとつだけ確認しておきたいことがあるの。
 いつかホテルで会った人。理美の会社の」
「宿本くん?」
「うん。本当にあの人とは何もないのね?」
「ないわよ」
「信じていいのね?」
「もちろん」
「もし裁判になって、
 途中で彼と理美が深い関係だって明らかにされたら
 裁判官の心象を著しく害する。
 場合によっては負けるかもしれないのよ」
「大丈夫よ」
「それじゃ、打ち合わせしましょう」

亮平、会社
「報告書です」と上司に書類を渡す。
着信
「はい上川です」
「弁護士の古葉です。何度かお電話したんですが」
「すみません、急な仕事で海外だったので」
「そうでしたか」
「はい」
「明日の調停のことは?」
「分かってます」
「あの…」
「はい」
「ちょっと、お会いできませんか?」

民ちゃん飲み屋
「いいんですかね、こんな形で俺と会って?
 しかも明日調停ですよ」

「今日は弁護士として来てるんじゃないの。
 理美の友人として来てるの」
「そんな、勝手に使い分けないで下さい。
 民ちゃん、民ちゃん、おかわり」

民子知らん振り
サブちゃん「はいはい、亮平ちゃん、おかわりね。
 (民子に)まだ怒ってるのかよ。
 (亮平に)ごめんね」
「いや…」
「どうしてもあなたに聞きたいことがあって。
 なんで、悠斗くん、理美に返したんですか?
 あんなに頑張ってたのに。
 お弁当作ったり、バザーの委員長やったり、
 いわしハンバーグ売って、
 それなのになんで諦めちゃったのかなって」
「いや俺は諦めたわけじゃないですよ」
「じゃあどうして? やっぱり、仕事が大事だったから?」
「悠斗より大事なものがあるわけないじゃないですか!
 (民子ジーン!)
 今の悠斗には母親が必要なんですよ、俺じゃダメなんです、
 これは理屈じゃなくて…。
 古葉さん、これだけは分かっててもらいたいんですけど
 俺は諦めたわけじゃないですから。
 必ず悠斗と一緒に暮らす、いや、家族三人で暮らしますよ」

「そう」
「はい」
亮平の言葉は詩織と民子に響いた。

そこへ津久野が来店
「お〜、冷えてきたね、民ちゃん。熱燗ちょうだい」
民子「はいよ」
「あれ?」
詩織「こんばんは」
「どうも」
「じゃ、私これで」
「いや、あの、お邪魔でしたら僕、あれしますんで」
「いいんです。あなたの気持ちはよく分かりました。失礼します」

津久野「何の話です?」
「えっ? いや、別に」
民子「これ私のサービス」
(なんかおいしそうな煮物と『秘蔵の扉』by宝酒造)
「あれっ、どうしたの、民ちゃん?」
民子「ウフフフッ」
「うまそっ」
「あっ、これハンカチ!(詩織の忘れ物) 行っちゃったか…」
「あ、そうだ、津久野、ちょっとさ、おまえに頼みがあるんだよ」

亮平宅
「うわ〜、ピカピカ(の台所)。
 いや、しかし先輩、いつも部屋きれいにしてますね。
 俺んとこなんか全然、ぐちゃぐちゃで」
「まあな」
「で、頼みって何です?」
「俺さ、土産ってすぐに渡さないと気がすまないんだよー。
 これもついでに…、理美に渡しといてくれ」

「なんですこれ?
 悠斗のおもちゃ? 自分で行ったらいいじゃないですか」
「いや、明日離婚調停だからさ、うーん、さすがに会うわけに…。
 頼むよ、な」

「ええ〜?」
「仕事終わってからでいいから」
「はい」

家裁、女性スタッフ「上川さんどうぞ」
理美「はい」
詩織と共に歩いていく姿を別室で待機中の亮平が見かける。

詩織を横に、理美が調停員二人に話す
「帰りは毎日、深夜の二時、三時でした。
 朝も早くて、七時には家を出ていましたから、
 夫婦の会話はほとんどありませんでした。
 会話らしい会話は、
 子供が生まれてからはほとんどなかったと思います」

亮平の番、同じ調停員に話す
「あの頃の私には、一日何時間あっても足りない状態でしたから、
 妻との会話はそれなりにしていたつもりです。
 でも充分ではなかったと思います」

理美「あの人は変わらないと思います。
 なんでも自分で決めない時が済まない性格なんです。
 家を買う時も、仕事を変えるときも、
 大事なことは全て自分で決めてしまって、
 私にはひと言も相談はありませんでした」
詩織「依頼人は離婚を強く希望しております」

「僕が独りで決断してきたことは、
 みんな妻や子供のためを思ってしてきたことです。
 離婚のことはまったく考えていません。
 子供のためにももう一度妻とのやり直しをしたいんです」

二人の調停員うち、女性調停員が申立て人・理美と詩織に話す
「双方の言い分は大きく食い違っているようですね」

二人の調停員のうち、男性調停員が亮平に話す
「改めてもう一度おいでいただくことになります。よろしいですね?」
「はい」

廊下ですれ違う三人。
「理美、悠斗は元気か?」
「ええ」
「あのさ」
そこへもめる夫婦が現れる
「やめて!」
「裏切ったのはお前じゃないか!」
「じゃああの女は一体何なのよ!」
「関係ないって言ってるだろう!」
「離してよ!」
「助けて」と理美を頼ってきた!
「俺は絶対許さないからな! 男作って家まで持っていく気か!」
亮平が間に入ろうとし
「どけ」と言う男性を力で押さえ込む。
「落ち着いて! 落ち着いて!」
職員も加わり一段落。

「大丈夫か?」
「うん…」
「じゃあ」
# おっ? 理美にとって、力強く優しいヒーロー?

理美、家。回想、さっきの一件を思い出す。
玄関のチャイム
「はーい」

「津久野くん」
「お久しぶりです」
「津久野っち!」
「おぉ〜、悠斗」

「はい、これ」
「これパパがくれたの?」
「そう、フランスのお土産だって」
「すげぇ!」
「津久野くん、よかったらごはん一緒に食べていかない?」
「え? いいんですか?」
「なんにもないんだけど」
「やった!」
「やった。よし、じゃあさ、これ向こうで走らせようよ。
 あの、理美さん」
「なーに」
「先輩ともう一度やり直すわけにはいきませんか?
 なんか先輩、台所とかピカピカにしちゃって、
 どうしてそんなことしてるか分かります?
 悠斗と理美さんがいつ戻ってきてもいいようにって。
 なんか、そういうの見てたら俺、たまんなくって」
「覚えてる? 亮平が帰ってこなくて、
 私と津久野くんと悠斗の三人でよくごはん食べたよね」
「はい」
「悠斗はよちよち歩きの頃、津久野くんのことパパだと思ってて、
 あなたが帰るとすごくぐずついたのよ」
「知りませんでした」
「亮平はほとんど悠斗と会わなかったから。
 夜遅く帰ってきて、朝早く出かけて、土曜も日曜も仕事で
 ほとんど仕事で家にはいなかったわ。
 それでも私は、私なりに自分の家族を作ろうとして、
 一生懸命努力してきたつもりだったの」
「分かります」
「でもね、亮平には別の世界があって、
 私の話なんか全然聞いてくれなかった。
 毎日のほんのささいなことだけど、
 すれ違ったり、違うなって思ったり、
 そういう小さなことの積み重ねがどんどんどんどん積もっていって、
 気がついたらどうしようもなくなってた。
 ごめんね、津久野くんにこんな話、困っちゃうわね」
「いえ、俺、何て言ったらいいか、すいません(ペコリ)」
「津久野っち! 駅長やって!」
「おお、やろう、やろう。
 あっ、そうだ、これ、理美さんのお友達の、
 弁護士の方、何でしたっけ?」
「古葉詩織?」
「そうそう、古葉さん、これ、民ちゃんに忘れ物、返しといてください」
「詩織がどうして津久野くんと?」
「僕じゃないです、先輩と」
「亮平と?」
「よく分かんないんですけど、先輩と飲んでました」
「そう」
「津久野っち、早く!」
「お、ごめん、行こう、行こう」
理美の疑念発生。

CM

「ごめんください」
「はい」とあの女の子が出てきた。
「あの、佐伯さんは?」
「出かけてるけど?」
「幼稚園?」
「さあ? どうぞ」
「あ、いえ」
「すぐ帰ってくるから」
「あの、また来ます」
「いやいや、すぐ帰ってくるから、ね。はいはい、いいから上がって」

「一人で飲んでたんだ。つまんなかったからちょうど良かった。
 飲むよね?」
「あ、いえ。帰ります」
「あ〜、ちょっと、一杯ぐらい付き合ってよ、ね」
「あの、これ、お土産。フランスからの。佐伯さんに渡しといて」
「へえ〜、フランス? うわ〜、いいな、フランス、
 私も行ってみたい。ねえ、いいとこだった?」
「ええ、まあ。でも仕事だったので」
「仕事? もしかしてエリート?」
「そんなんじゃ」
「ああ、フランスね〜。で、あんた誰?」
「…。上川です。佐伯さんとは…」
「ねえ、あのおっさんどう思う?」
「どうって?」
「何考えてんのかさっぱり分かんないんだよね〜、
 むっつりしちゃってさ」
「あの…」
「いやね、私には優しいのよ。うん、優しい」
「…。失礼ですけど、あなたは?」
「私? 私、さやか。よろしくね。
 あっ、お店だと(名刺を取り出し)、
 メグっていうんだ。今度来てね(ハート)。
 今日行こうか! 私これから出るところなの。
 ねっ、行こう! 同伴出勤(ハート)」
「いや、今日ちょっとこれから」
「あっ、そう」
「佐伯さんとはどういう?」
(沈黙)
「エリートだよね?」
「…。いえ」
「お金貸して」
「えっ?」
「今ちょっとやばいんだ、ねっ、貸して」

家、
「ガタンゴトン、曲がります。はい、カーブ入りまーす。ガタンゴトン」
「悠斗、パパに会いたい?」
「いい(ショボン)」

理美と悠斗、外、悠斗が走り出した
「悠斗、気をつけて」

幼稚園へやってきた
「美帆先生!」
「悠斗くん! 元気そうね、先生、悠斗くんに会いたかったぁ」
「僕も!」
「おっ、悠斗くん」
「シンちゃん!」
「おお、久しぶりだな。
 (抱っこして)重くなったな?
 (理美を見つけてペコリ)
 (悠斗に)元気だったか? ごはん、いっぱい食べてるか?」

二人で話す理美とシンちゃん
「先日は失礼いたしました」
「いえいえ」
回想
“悠斗を失ったら私。
 お願いします、どうか上川と悠斗に関わらないで下さい(ペコリ)”

「あの時は、悠斗を取り戻すのに必死で、
 佐伯さんにも失礼なこと言ってしまいました」
「そんなこと気にしないで下さい」
「でも…」
「悠斗くん、どうですか? 新しい生活に慣れましたか?」
「やっぱり父親が恋しいみたいです」
「そうですか」
「佐伯さんや先生たちにお会いすれば、少しは元気に
 なってくれるかなと思いましてここに連れてきたんですが」

シンちゃんが「はい」と言って亀の入ったタッパ(容器)を手渡す。
「ホントにくれるの?」
「ああ、お母さんも飼っていいって」
「やった!」
「でもな悠斗くん、餌をやったり、水槽を掃除したり、
 自分でちゃんと面倒みないとダメだぞ」
「分かった!」
「じゃあ頼むよ」
「はい!
 (元気だった声が静かな声に変わり)
 ねえ、シンちゃん、パパと会った?」

「そう言えば、しばらく会ってないな。お父さん仕事で忙しいんだろう」
「パパ怒ってるよね?」
「どうして?」
「僕がママんとこに行ったから。パパ、僕のこと嫌いになってるかも」
「バカだな、それで元気がないのか?
 心配するなよ。お父さん悠斗くんのこと大好きなんだから」
「本当?」
「本当だよ、大好きだよ!」

園児たちが描いた『だいすきなくだもの』の絵を観てまわる理美が
悠斗の絵で立ち止まる。
美帆「悠斗くんの絵です。私その絵だーい好きなんですよ。
 ほかの子は果物の絵だけを書いているんです。
 でも悠斗くんは木になっているリンゴを描いてるのが、
 素敵だなって。
 悠斗くんって、リンゴの木を見たことがあるのかしら」
その絵を観て、涙を流す理美。

CM

会社
「フランスですか?」
上司「取引がうまく行ってね、
 それで今度現地の食品会社と合弁会社を作ることになったんだ。
 その立ち上げを君に任せたい」
「あの…」
「そうだな、二年ぐらいは向こうに行ってもらうことになるだろうな。
 奥さんともよく相談してみてくれ」
「はい」

建築デザイナー・理美が建築現場に。
「どういうことですか、キッチンもベランダも
 私の図面とは違ってるじゃないですか?」
棟梁「ま、そう言ったって、宿本さんの指示だから」
「宿本くん?」

理美宅
「ごめん。
 ちゃんと話すべきだったんだけど、なかなか言い出せなくて」
「とんだピエロね、私」
「理美」
「私は自分の図面が認められたんだと思ってたの。
 でもあれは私のじゃない、あなたのだったのよ!」
「黙っててごめん、先生の指示なんだ」
「先生?」
「理美の図面どおりだとかなりコストオーバーしちゃうんだ。
 だから、僕が手を入れた。でもあれはきみのものだ」
「聞きたくないわ」
「黙って手を入れたのは、
 あの仕事を理美に決めて欲しかったからなんだ。
 理美、俺…」
(玄関のチャイム)
「はい」
詩織「理美、私」

玄関
「次の調停のことで話があるの、いい?」
「うん」
宿本を見て驚く詩織
「それじゃ、俺。明日、会社来いよ。遅くに来て悪かったな」

「どうぞ」
「どうして嘘つくの、理美」
「嘘なんかついてないわよ、彼とは本当になんでもないの」
「なんでもない人をこんな時間に部屋に上げる?」
「友達だったらもう少し私のこと信じてよ」
「信じたい、だけど、
 理美がどうしてそこまで離婚にこだわるのか分からないの。
 ご主人あんなに譲歩してるのに。ご主人、悠斗くんを…」
「詩織、あなたどっちの味方なの?
 (ハンカチを取り出し)亮平と会って一体何を話したの?
 なんで私に隠してたの?」
「隠してなんかない」
「隠してたでしょう」
「理美こそ、私のこと信じてないのね」
「信じられないわよ。いきなり亮平の味方してるじゃない」
「味方なんかしてない、私はね…」
「詩織、亮平と何かあった?」
「焼きもち焼いてるの? バカみたい。
 まだ彼のこと好きならとことん話し合ったらどうなの!
 甘ったれないでよ!
 (泣きそうな目で見ている悠斗に気づく)
 お互い信頼関係がもてないのなら仕方ないわね。
 理美の弁護を降りるわ」
帰っていった。
# 女優の演技バトル、なかなか良かった

理美、悠斗を寝かしつけ、回想
“焼きもち焼いてるの? バカみたい。
 まだ彼のこと好きならとことん話し合ったらどうなの!
 甘ったれないでよ!”

シンちゃん宅、晩酌
「いや〜、久しぶりですね。
 あっ、この間は土産届けてくれてありがとう」
「あっ、いえ…。
 あの…(さやかのアクセサリー?が気になっている)」

「あ? あぁ(ポケットにしまう)」
「佐伯さん」
「はい」
「余計なことかもしれないんですけど、
 いや…、年齢的なことはともかく、
 まあ、男と女ですから何があっても不思議じゃないと思うんです。
 でも若い女の子の場合は色々ありますから…、
 つまり佐伯さんが思っているほど…、なんつったらいいのかな、
 意外とほら、手ごわかったりするじゃないですか」

「何の話ですか?」
「え? …。分かりました、ぶっちゃけ言いますね」
「おお」
「あの女の子はちょっと…。
 いや遊びならいいんですけど、
 真剣にお付き合いするのはどうでしょうか。
 僕としては本当早く別れたほうがいいと思うんです。
 すいません、余計なこと言いました(ペコリ)」

「ふふっ」
「何がおかしいんですか?
 いや…、僕は、どうしても真剣に気になってたんですよ」

「分かってますよ、心配してくれてありがとう」
「いえ」
「残念ながら彼女とはそういう関係じゃないんです」
「えっ?」
「これを見てください」
「はい」
さやかの幼少期からのアルバムだ
「あの子の写真です。名前は森田さやか」
「え? じゃあ、この子はもしかして…」
「いやいや、私の娘じゃない。
 実は、女房は息子を亡くしたあと、
 医者から二人目は無理だと言われましてね、
 それで息子の代わりに、
 そのさやかって子を養子にしたいと言い出したんです」
「養子?」
「私は反対しましたよ。
 私たちの子供はこの世にただ一人、あの子だけだ。
 (仏壇に飾られた少年の写真)あの子に代わる子供なんかいない。
 私の猛反対で彼女はそれっきりその話をしなくなった。
 でもこの間女房の遺品からこれ(たくさんの手紙)が出てきましてね。
 驚きましたよ。諦め切れなかったんですかねぇ。
 あのさやかって子は、両親を早く亡くして施設で育った子なんです。
 女房は二十年近くも、
 時々会いに行ったり、
 手紙のやり取りをしていたんです」
「そうでしたか」
「私もこれを見てしまったら、
 なんだかこの子がどこでどうしているのか、
 気になって仕方がなかったんです。
 この手紙を頼りにどうにか探し出したんですが、
 そうしたら向こうから女房に線香をあげさせてくれと言ってきたんです」
「それでこちらへ」
「ええ。気が向いてやって来ては仏壇に手を合わせて帰っていく」
「なんか俺、変な詮索しちゃって」
「いやいや、男としては嬉しい誤解ですよ。
 あっ、そういえば、昨日悠斗くんに会いました」
「悠斗に?」
「お母さんと幼稚園に遊びに来ましてね」
「あっ、そうですか」
「お父さんに会いたがってました」
「俺にですか?」
「でも自分はお父さんに嫌われてるから会えないって」
「なんでですか?」
「お母さんのところに行った事で、
 お父さんが怒っていると思ってるんですね。
 (杯に手を伸ばし、飲みながら言う)
 悠斗くんが通ってる保育所の近所に、
 六所神社というのがあるそうですよ。
 毎週土曜日の午前中はその境内に散歩に行くらしい」
そ知らぬ顔をしながらも、しっかり教えてあげるシンちゃん!

CM

夜、帰ってきた亮平、詩織が家の前で待っていた。

近くの公園で話す
「率直に言わせてもらっていいですか?」
「ええ」
「次の調停で、裁判所から調停案が出ると思います。
 離婚は成立し、
 悠斗くんの親権は理美へ、という内容になるでしょう」
「それは認められません」
「そうなると、上川さんは離婚裁判を起こす事になる。
 裁判は調停とは違います。
 勝つために相手を責めて優位に立とうとする。
 その結果お互い残るのは、
 相手を憎む心、恨む気持ち、修羅場だわ。

 見たでしょう、裁判所で?」
「ええ」
「私、上川さんと理美に、あんな風になって欲しくないの。
 (バッグから離婚届を取り出して差し出す)
 離婚に同意してくださいませんか?」
「さすが弁護士ですね、でも俺は…」
「理美の弁護は、さっき降りてきました」
「えっ?」
「だから、私にはこんなこと言う資格なんてないのかもしれないけど、
 黙ってられなかったの。
 あなたたちが憎しみあって、一番傷つくのは誰ですか?
 悠斗くんじゃないんですか?
 大好きなパパとママが憎しみあったら、
 悠斗くんがどれだけ傷つくか考えてください。
 上川さん、言いましたよね?
 『悠斗より大事なものなんてあるわけない』って。
 だとしたら、お願いします、
 これ以上、悠斗くんを悲しませないで下さい。
 失礼します」

家、離婚届を前に考える亮平。

どこか田舎を走るバス、理美が乗っている。

神社、子供たちが遊んでいて、悠斗もいる。
悠斗が鐘を鳴らそうとするが、ひもに手が届かない。
そんな悠斗を抱き上げてやる亮平。
「パパ!」
「おはよう、悠斗。
 よいしょ!(肩車してやり)ほら、鳴らしてみろ」

「わかった!」
「引け、引け! あはは」
カランカラン

理美、どこか山のふもとを歩き、リンゴの木の前にやってきた。
悠斗の描いた木のようだ。

「悠斗」
「なあに?」
「さっき何お願いしてたんだよ?」
「『パパとママが仲良くなりますように』。
 ママと仲直りした?」

「え…、ママと? うーん、悠斗、
 あのね、パパ、ママとはもう一緒に暮らさないかもしれない。
 そしたら、悠斗はママと一緒に暮らすんだ」

「ママと?」
「そう、おまえは男の子だから、
 そん時はママのそばにいてママのこと守ってやれ。出来るか?」

「うん」
「よし、じゃあ、頼んだぞ」
「うん。パパ、ママのこと好き?」

リンゴをもぎ取り眺める理美

「うん、好きだよ」
「僕も!」

保育士「さあ、保育園に帰りますよ〜」
悠斗をじっと見つめ…。
「よし、じゃあ行け」

「悠斗!」
と追いかけて抱きしめてやる。
「悠斗、パパ、悠斗のこと大好きだぞ」
満面の笑みの悠斗。
「じゃあ行け」
手を振って去っていく亮平。

おお、もう終わりか、とあっという間の一時間だった。

亮平は離婚の決意があるようだ。でも理美のほうに心境の変化があるようで、どうなるのかな。
“離婚は忍耐力の欠如、再婚は記憶力の欠如”
どこかで聞いた印象的な言葉。
検索すると、ここに“結婚は判断力の欠如”が頭に加わるのね。

やたらとタカラ缶チューハイが出てきた。提供のひとつが宝酒造だから。

キャスト
上川亮平(竹野内豊)
上川理美(石田ゆり子)

津久野仁志(劇団ひとり)
木下美帆(さくら)

浅野由美子(清水由紀)
石澤勝彦(石井智也)
サブちゃん(金橋良樹)
上川悠斗(宇都秀星)
民子(梅沢昌代)

(須永慶)亮平の上司
(野村信次)調停員
(小川章子)調停員か
(柴田次郎)棟梁
(積圭祐)離婚がもつれる夫婦か
(石井春花)同上。(役者情報あり。個人ブログsparklersの日記 - 石井春花さん

森田さやか(星野真理)
宿本和則(金子昇)

古葉詩織(木村多江)

佐伯晋一郎(渡哲也)

脚本 清水有生
演出 池添博
第六話「愛する妻と子へ…涙の離婚決意!!」

4847029747
木村多江写真集「秘色の哭」
(ひそくのね)
熊谷 貫
ワニブックス 2006-11-29

B000JVS3ZE
家族~妻の不在・夫の存在~オリジナル・サウンドトラック

TVサントラ
コロムビアミュージックエンタテインメント 2006-12-20

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posted by エデン at 14:00 . | Comment(5) | TrackBack(0) | 家族〜妻の不在・夫の存在〜
この記事へのコメント
エデンさん、こんにちは、TBサンキュー、まあっ、じれったいと言おうかしかし、見てしまいます、結局子供が可愛そうです。
>>“離婚は忍耐力の欠如、再婚は記憶力の欠如”
最近は、仕事の出来る女性が増えたようで、しかし、家内みたいに専業主婦も、仕事とおもいました、この年になると悠斗君の頃なんて子育てに夫婦でテンヤワンヤで、ある時期過ぎると子供から引き上げてゆくのですが・・・、残り2回どの様に終わるのか、今回はかなり動きが有りました。
Posted by ウルトラセブン at 2006年11月25日 16:33
エデンさん、こんばんは。
記憶がよみがえる内容で複雑でしたが、子供目線で考えるほうが身を引く展開。実際こんなことは多い。
>“焼きもち焼いてるの? バカみたい。
そりゃそうだよなぁ。やってられません。あの程度の事由で調停離婚できるのか前々から疑問でしたし、
単なる妻のワガママでおしまい、と行列の出来る相談所で言われそうです。
(実際裁判所への呼出しは、あんな大きな封筒で来ない。リアリティ欲しい)
とまぁ、なんだかんだ言って引き込まれて毎週観てますが...(泣き笑)
渡哲也さんもやっとマグロが釣れたので、こちらに全力投球です。では...

そうそう、私も以前に書き込みできないことがありましたが、メモ帳からのコピペで貼付けた半角文字(何か忘れた)が悪さしていたらしく、それを取り払ったらOKでした。それ以来じか書きしてます。問題ありませんね。
Posted by シャブリ at 2006年11月25日 21:33
ウルトラセブンさん、いつもお世話になってます。
>結局子供が可愛そうです。
そう、子供の将来を考えると離婚するのが一番悪いはず。もっと長い先を見据えて行動したほうがいいと思うけどなぁ、とブログ運営も長い目で見ているオイラの考え(笑)。出演情報などは将来的に役に立つかなと。

>専業主婦も、仕事とおもいました
本当そうですよね。家の仕事は山積みで、さらに地域の仕事やご近所さんと仲良くやるためストレスを感じたりなどね。書いてて『アットホームダッド』を思い出した(笑)

>ある時期過ぎると子供から引き上げてゆく
そうそう、引き上げないと親も子離れできずにね。



シャブリさん、こんばんは。
離婚の段取りはなんだか難しそうですね。
英数字は基本的に半角で、でも半角カナは文字化けなど不具合の原因、という考え方なので、よそからコピペする時も半角カナはなるべく修正してます。
書き込み時に影響があるのですかぁ。覚えておきます、ありがとう。
Posted by エデン at 2006年11月25日 23:10
エデンさん、こんばんは!いつもありがとうございます!

先週に続き、またまた頭の5分を観れなかったので、
たすかりました。いつもありがとうございます!
(しかし、5分あると、結構話が進んでるのね)

>おお、もう終わりか、とあっという間の一時間だった。
ほんとにいつもあっという間ですよね。なんというか、
たいして事件とかあるわけじゃないんだけどストーリーが
緻密というか、きちんと作られてるのでツッコミどころも
あんまりないし。こんなおもしろいドラマなのに、ほんとに
見てる人が少なくて残念でしょうがないです。

では、またよろしくです〜!
Posted by まりりん at 2006年11月26日 00:22
まりりんさん、まいど。
他の話題性先行のドラマは観ている人が多く内容が薄い。この『家族』は逆ですよね。
うちの記事を読んでも、文字では伝えきらない部分が多いので、ぜひ多くの人に観てほしい。ではまたー。
Posted by エデン at 2006年11月26日 13:21
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