感動の質が高い。
完全に男視点のドラマか!? それも不器用な男、料理をできない男(笑)。
今回も良かった。
微妙な沈黙の間合いが絶妙。笑えたり、泣けたり。
あいにく理美の気持ちが分からない。
以下、あらすじ
朝、料理する亮平の回想。
“「妻のところへ返します」
「本気ですか?」
「ええ」
「でも悠斗くんはここで暮らしたいと…」
「いや、こいつがいたらやっていけないんすよ」
「上川さん、上川さん! 待ちなさいって」
「あんたに関係ないじゃないですか!」
「バカ者!」鉄拳制裁
”
「ねえ、悠斗」
「なあに?」
「今日幼稚園休む?」
「なんで?」
「なんでって、別に理由は無いけどさ」
「シンちゃんとケンカしたから?」
「違うよ…。たまには…、家でゆっくりするのもいいかなって」
「やだ、幼稚園行く!」
「ディズニーランド行こっか(ニヤリ)」
「ディズニーランド!?」
「今日は、パパと、ディズニーランドで思いっきり遊ぶ!」
「幼稚園休む!」
「よし。そうと決まれば、電話しなくちゃ」
「パパ、会社行かないの?」
「あっ、そうだ、美帆先生はケータイ…」
「またクビ〜?」
幼稚園
「美帆先生、今日、悠斗くん、お熱があるってお休みするそうです」
「あ…、分かりました」
「イェイ! ディズニーシーも行きたい」
「本当はね、嘘なんかついちゃいけないんだぞ。
でも『嘘も方便』って言って、
嘘をついたほうがみんなが幸せになる場合もある、
そういうことよく分かるよな?」
「分かる!」
「よっしゃ! じゃ行こう!」
「ディズニーランド、ディズニーシー、ディズニーランド…」
玄関を出ると、男性が道を探してうろうろしている。
「あっ!」
「おお、悠斗だったな」にこやかに笑う藤尾克治
「お父さん!?」
驚く亮平。
亮平を見つけるとしかめっ面になる藤尾。
オープニング
「いやぁ、この鮭(新巻鮭)はうまいですよね〜」
「じいじ、僕には?」
「あぁ、おまえにはチョコレートだ。食べ過ぎちゃダメだぞ」
「うん!」
(沈黙)
「こんなにたくさんのお土産…。
いやでも本当に驚きました。来るなんておっしゃってなかったので。
(沈黙)
旭川は一番の飛行機だったんですよね?」
「ああ。理美は?」
「えっ?」
「ママ、いないよ」
「いない?」
「出てった」
「出てった?」
「ちょっと今出かけてるんです」
「子供置いて何してるんだ。それで君は会社を休んでいるのか?」
「違うの、パパ…」
「いや、そうなんです!
全然休みを取ってなかったもんですからちょうど良かったんですよね」
(上着を着始める藤尾)
「あれっ? お父さん?」
「帰る」
「えっ?」
理美「もしもし」
「俺」
「仕事中なのよ」
「旭川からお父さん来てるんだよ」
「父が?」
「こっちの病院に検査入院するそうなんだ。
うちに泊まるつもりで来たらしいんだけど、
理美がいないって言ったら帰るって言って…。
おまえ今すぐこっち帰って来れないか?」
「分かった、すぐ帰るから、それまで父をお願い」
「宿本くん」
「何?」
「旭川から父が出てきてるの。ちょっと顔見てきていいかな?」
「うん、いいよ、どうぞ」
「ありがとう」
「クライアントさんとの打ち合わせは大丈夫だよね?」
「五時半からよね、必ず戻るから」
「分かった」
藤尾おじいちゃんは出されたお茶をまずそうに飲んでいる。
# 渋い? ぬるい?
悠斗の部屋で密かに話す亮平と悠斗
「おじいちゃんは心臓の具合がよくないんだよ。
心配かけたくないから、
ママがこの家を出て行ったっていうことは絶対言っちゃダメだよ」
「嘘も方便?」
「そ…、そういうことだ」
「分かった!」
(藤尾じいじはカメラ好きで、アルバムを持ってきた)
「オランウータンだ!」
「旭山動物園だ。今度連れて行ってやる」
「ホント?」
「ああ」
「じいじに電車見せてあげる!」
(悠斗が自分の部屋へ取りに行き、残った亮平と藤尾)
「ちょっといいですか? へぇ〜、オランウータン…、
子供、すごいかわいいですね…」
(藤尾は口を開かずカメラの手入れをする)
理美が走ってやってくると、亮平たちは外でプランター作りをしていた。
「ママ!」
悠斗が走って駆け寄り、理美と抱き合う、それを眺める藤尾。
亮平は嘘がばれそうでヒヤヒヤ。
「理美、理美」
理美はハッと気づいて父のもとへ
「驚いたわ、突然来るんだもん。
お父さん、心臓そんなに悪いの?」
「大したことはないよ」
「そう…」
「ママも一緒にチューリップ植えよう!」
「ダメなの、ママね、着替えがないからね」
「着替え?」
「この前、古い服を全部処分しちゃったの」
「着れたか?」
「うん、ちょっと大きいけど大丈夫」(亮平の服を借りた)
「私たちのこと、父には話してないわよね?」
「言うわけないだろう、お父さん、心臓が悪いんだぞ」
「ありがとう」
「とにかくお父さんが帰るまでは、今までのようにしていような」
「(うなずく。そしてハッと思い出す)
# この演技が分かりやすくて、かわいくて秀逸
ねえ、今日会社は? 休んでくれたの? 父のために」
「ああ、まぁ…」
「ごめん(ペコリ)」
「あっ、そう言えば、それどうするの?」
タンスの上においてある指輪を指差す。
「ママ、はやく!」
「はーい、すぐ行きます」
しぶしぶ指輪をはめる理美。
プランター作り。それをカメラで撮ろうとする藤尾。
「あっ、お父さん、撮りましょうか?」
# そこに気が回るだけでも充分じゃないか。撮られっぱなしの人もいるから。
「三人で」
悠斗が亮平と理美を引っ張って主導する。
「いくぞ」
「いいよ!」
「はい、チーズ」
その後、理美は台所で弁当を開くと、手を付けていない中身に首をかしげる。
# 亮平は弁当まで作ったのに、結局幼稚園には行かなかった。
「悠斗、何食べたい?」
「オムライス!」
「オムライス、はい」
「手伝うよ」
「いいよ、ひとりでやるから。いつも通りにしといて、父が気がつくから」
「うまーい」
「ホント? よかった! いっぱい食べてね」
「うん」
「悠斗、ニンジンちゃんと食べろよ。おまえ弁当いつも残すんだから」
「食べてるし」
「食べてないし。昨日だって残してたじゃないか」
「あ、ごめん」
悠斗の口の横についた食べ物を亮平が指でとって自分で口にする。
それを見て驚く理美。
ケータイ着信
「ちょっと失礼」その場を去る亮平。
「いっぱい食べてね、お代わりあるよ」
「もしもし」
「あっ、もしもし、先輩、津久野です」
「おお」
「あの、先輩今時間あります?」
「おお、大丈夫だよ、どうした?」
「うちの取引先で営業の社員募集してるんです。
そこの部長に先輩のこと話したら、これから会ってくれるっていうんで、
一緒に行きませんか?」
「すみません、急に仕事で呼び出されてしまって。
せっかくお父さんいらっしゃってるのに。
じゃあ、行ってくるよ」
(玄関)
「何時ごろ戻れる?」
「え? 分からないなぁ、あとは頼むよ」
「そうもいかないのよぉ。
五時半から大事な打ち合わせがあるの、それまでになんとかならないかな?」
「いや…、どうかなぁ」
「お願い、なんとか都合つけて」
「結婚して六年間、ずっーとあの調子だぞ」
「父のこと?」
「俺のこと嫌いなの分かるけどさぁ」
「そんなことないって」
「俺と一緒にいてもつまんないんだろ、お父さんは。行ってくるよ」
「ちょっと待って」
CM
亮平の面接。
「上川亮平、35歳です」
「上川さんは東和商事にいらっしゃったんですね」
「ええ、東和商事時代には十年間営業部に所属していました」
「どうでした、面接?」
「『残業、休日出勤、接待、出張は一切無理です』」
「言っちゃったんですか」
「だって就職決まってからじゃ言いにくいだろう、そういうことって。
おまえにも迷惑かけるしさ」
「確かに。
やっぱ早く謝って奥さんに帰ってきてもらったほうがいいんじゃないです?」
「だからなんで俺が謝んなきゃいけないんだよ」
理美からケータイ
「もしもし」
「五時にはここを出ないと間に合わないのよ。
お願いだからなんとか都合つけて帰ってきて。お願いします」
「こっちだって仕事なんだよ、そっちでなんとかしてくれ。切るぞ」
サブちゃん「はいお待ち」
「サンキュ。ごめんね、民ちゃん、こんな時間に」
民ちゃん「いいけどなんにもないわよ。(サブちゃん)早く着替えて(ウッフン)」
「あれ? (なんでウーロン茶? 俺はビールだぞ)」
「あっ、仕事中ですから」
「あっそ」
「早く帰ったほうがいいですよ。奥さんのお父さん、来てるんでしょ」
「いやぁ、苦手なんだよな。『あ〜』とか『う〜』とかしか言わないしさ」
「お父さんですか?」
「うん、初めて旭川にあいさつしに行った時だってひと言も話さないぞ、
おまえ、ずっとテレビで『のど自慢』観てるんだぞ」
「照れくさかったんでしょ、初対面だからって」
「違う、そんなんじゃねーって、それから何回も会ってんのにさ、
結婚式の時だぞ、俺に初めて話し掛けてきたのは」
「なんて言ってきたんです?」
「『俊平くん』」
「俊平くん?」
「俺のことだ」
「は?」
「『父さん、僕の名前は亮平です』って答えたよ、俺は」
「そしたら?」
「『あ…、そうだったの』だと。あれ、わざと間違ったんだよ、俺の名前」
「きついっすね」
「きついだろ? おまえ、耐えられるか、そんな沈黙のオヤジと一緒にいられるかよ」
「確かに…、そりゃ相当きつい」
津久野に着信
「はい、はいはい。分かりました、すぐ戻ります、失礼します」
「何? 仕事?」
「あっ、すいません。
先輩、悪いこと言わないから、早く帰ったほうがいいですよ、ねっ」
幼稚園の入り口付近できょろきょろする亮平
「上川さん」
美帆先生がいきなり現れて驚く亮平。
# 視聴者も驚くようなカメラワークが楽しい。
「ああ、どうも」
「どうしたんですか?」
「あぁ、さ…、佐伯さんは?」
「もうお帰りになりました」
「あ…、そうですか。それじゃ…」
# さびしそうな美帆先生。まさか亮平を狙っているのか?
家
「帰ってこないかと思った」
「お父さんは?」
「悠斗と公園行ってる」
「あ、そう」
「ちょっとあなた飲んでるの?」
「一杯だ」
「こんな時間から?」
玄関のチャイム、亮平が玄関を開ける
「あっ」
弁護士「こんにちは」
「あの…、今ちょっと…」
「あ、いいです、ここで。すぐに帰ります。
今日お勤め先に電話したら、数日前に退職されたと伺いました。
失業されたとなると、悠斗くんを育てるのがますます難しくなりますね。
もし、理美が家裁に調停を申し立てた時、
間違いなくあなたが不利になりますよ」
「何やって…。詩織!」
「理美!」
「どうしたの?」
「どうしたのって…、理美こそ、どうしてここにいるの」
「今ちょっと…、深い事情があって」
「あぁ、そういうこと。あぁ、良かったんじゃない。
まぁ、でもその前にひとこと言ってほしかったけど」
「違うの、誤解なの、もうそういうことじゃなくて…」
「パパママ、ただいま!」
「あれ? 詩織ちゃんかい?」
「おじさま!」
家の中
藤尾「ニューヨークに!?」
詩織「ええ、だから理美の結婚式に伺えなくて…」
「いやいや。
しかしこの若さで自分の法律事務所をね〜、立派になったね!」
「そんなことないです」
「詩織ちゃん、晩飯一緒にどうだい? なあ理美?」
理美「それがちょっと無理なのよ」
「どうして?」
「悠斗、ママたちお話があるから二階に行っててくれる?」
「うん」
「お父さん、私、働き始めたの。設計の仕事」
「おまえが?」
「これから打ち合わせがあって、だから…」
「理美、その仕事、今すぐ辞めなさい」
「えっ!?」
「女は家庭を守るのが仕事じゃないか。
その大事な仕事を放り出して何してるんだ、おまえは」
「だって、今、詩織のこと立派になったねって…」
「それとこれは別だよ」
「どう別なの?」
「別だから別なんだ」
「めちゃくちゃじゃない、そんなの」
「そんなに仕事がしたかったらどうして結婚なんかしたんだ、
私があれほど反対したのに、さっさと仕事を辞めて結婚したのは誰だ?
めちゃくちゃなのはおまえじゃないか」
「お父さんはなんにも分かってない」
「うるさい! 仕事はダメだ! 今すぐ辞めろ!」
「嫌よ!」
「あの…、お父さん」
「君は黙ってろ!」
「僕は、理美が、仕事をするのには…、賛成です」
「何?」
「もともと理美には、充分なほど設計士としてやっていけるだけの
能力っていうのはありましたし、ま、それをそのまま家庭の中に埋もれて
いってしまうっていうのは…、いや、これはもちろん、
僕らのものすごい勝手なことなんですけど、
でもそれはもったいないなって、最近思えるようになってきたんです」
「そんなこと言ったら家庭はめちゃくちゃじゃないか!」
「でもその分、僕、頑張りますから。
お願いします、理美が仕事をするのを許してあげてください」
頭を下げる亮平、その場を離れる藤尾。
(沈黙)
理美「じゃ、私行くわ」
詩織「じゃ、私も。お邪魔しました」
タクシー
詩織「そういうことだったの。まあでも、そうだとしたらまずいわね」
「まずいって?」
「彼にあなたの父親の面倒を見させることよ。
彼は家庭生活を維持するためにそれなりに努力しているわけでしょ。
裁判の時に不利になる」
「そっか」
「だけど、ちょっと彼のイメージ変わっちゃったなぁ」
「どうして?」
「理美の仕事を認めてやってくれって」
「ハァ…、お芝居よ、あんなの」
「そうかな、結構本気だったようなきがするけど」
「まさか」
「理美が言ってるほど、悪い人じゃないような気がするけど」
うなだれる亮平
CM
悠斗の部屋を訪れ
「お父さん、さっきはすいませんでした」
「あぁ」
「あの…、腹減ってないですか? 俺、晩飯作りますから」
お土産の鮭一匹とにらめっこする亮平。
# 無理だ…。軽快な音楽がとても効果的(笑)
「お父さん、これ、おろせますか?」
「おっ、いや…」
玄関のチャイム
「あっ、佐伯さん」
「夜分に申し訳ない」
「いえ、どうぞ」
「昨日は失礼なことしてすまなかった」
「あ…、俺のほうこそ(ペコリ)」
「ひと言お詫びを言いたくて。
あ、これ、リンゴです。悠斗くんに」
「あ…、ありがとうございます」
「で、悠斗くん、具合はどうですか?」
「えっ!? あの…、それがですね…」
「シンちゃん!」
「おっ!? 熱下がったのかぁ?」
「嘘も方便!」
「え?」
「あの…、今日ずる休みだったんです。
いやぁ、昨日色々あったじゃないですか。
だから僕もちょっと気まずくなっちゃって…。
さっき幼稚園に行ったんです。僕も、ちょっと謝りたくて…。
本当、すいませんでした(ペコリ)」
「いやぁ、いやいや…」
藤尾「どなた?」
「あ、お父さん。あの…、悠斗の幼稚園でボランティアを
やってくださってる佐伯さんです、
もう本当、悠斗のこといつもかわいがってくれてて」
「いえいえ…」
「悠斗の祖父です。お世話になってます(ペコリ)」
「佐伯です(ペコリ)」
「シンちゃん、ごはん一緒に食べてって」
「ありがとう。今日はやめとくよ」
藤尾「あの…、よろしかったらどうぞ」
「あ…、お気持ちはうれしいんですが、今日は失礼します。
(悠斗に)じゃあな」
亮平は藤尾が奥に入るのを見て言う
「あの、佐伯さん、鮭(シャケ)、おろせます?」
「鮭…?」
見事にさばくシンちゃん
「うわ、さすがですね」
「いえいえ。
お父さん、奥さんのことは?」
「いや、知りません。あの、すいませんが、父には内緒で」
「あぁ」
「実は心臓を患ってて、明日検査入院するために今日は旭川から出てきたんです」
「そうでしたか」
「はい。もうすぐ妻も帰ってきます。
まああの…、父の前では普通にしてますけど、ちょっと心配かけられなくて、
すいませんが、そこんところよろしくおねがいします」
「分かりました」
「ありがとうございます」
あの鮭は鍋物に仕上がった(おじや?)
「あの…、おいしいですよ。えぇ、おいしいですよ、このやっぱり鮭が」
「やっぱり私は反対だな」
「えっ?」
「女が一度家庭に入ったら仕事なんてするもんじゃない、
家(うち)ん中がギクシャクしてしまう。
亭主も亭主だな、それを認めてやるって言う。
男がだらしなくなったから女が付け上がるんだ」
「お父さん…」
「この家(うち)、変でしょう?
なんか、ぎくしゃくしている、なんか雰囲気が冷たい、そう思いませんか?」
「いや、そうですかね。奥さんも亮平さんも仲良くやってますよ」
「そう…」
「はい」
「佐伯さんの奥さんも仕事をしてるんですか?」
「いや…」
「いや、いい。
女房は二ヶ月前に亡くなりました」
「そうでしたか。いや、失礼なことを…」
「いや、いいんです」
「長年連れ添った相手が亡くなるっていうのはさびしいもんでしょう」
「ええ」
「例えば、どんな時ですか、さびしいと思う時は?」
「お父さん…」
「いや、いいんです。
夜、家に帰ったとき明かりがついてない、
電気をつけると部屋は朝出ていったときのまま、
読みかけの新聞は同じところに置いたままだし、
部屋に干した洗濯物も、そのまま…。
そんな時、女房はもういないんだなって」
「そうですか」
「男ってのは、現実と折り合うのが下手でしょう」
「そうですよね」
「ええ」
「女はどうなんですかね?」
「女性ですか?」
「ええ」
「女性はうまく折り合ってやっていきますよ。強いですから、女は!」
「強いんですか、女は?」
「はい!」
「そう…、女は強いか…」
悠斗は藤尾じいちゃんとお風呂、亮平とシンちゃんは後片付け
「僕たちのために嘘をつかせてしまいましたね。
いや本当すいませんでした」
「とんでもない」
「どうも苦手なんですよ、あのお父さん。
結婚した時からずっとあんな調子で。そんなに僕のこと嫌いなんですかね」
「そんなことないですよ」
「初めて会ったときからほとんど口もきいてくれなくて」
「そりゃ、大事な娘を他人にやるんですから、少しは気難しくもなるでしょう」
「少しどころか、かなりですよ。
(片付けがひと段落)
あっ、どうぞ、今お茶入れますんで。えぇ、本当にありがとうございました。
佐伯さんはどうでしたか、奥さんのお父さんと?」
「そりゃあ大変でしたよ」
「やっぱり口きいてもらえませんでしたか?」
「そんなもんじゃない。会ってもくれませんでした」
「本当ですか」
「三ヶ月かな、通いつめてやっと会ってもらえた」
「それはかなり手ごわいですね」
「扉は叩き続けないと開けてもらえませんからね」
「(お茶)どうぞ」
「あっ(どうも)。
上川さん、心を開いて飛び込んでみたらどうです?」
「それがかなり難しいんですよね」
理美が帰ってきて、ご紹介
「あっ、お帰り。(こちら)佐伯さん」
「佐伯です」
理美、ペコリ&ポカーン
「ほら、悠斗の幼稚園でボランティアをやってくださってるって…」
「あっ、いつもお世話になっております」
「いえいえ。それじゃ私はこれで…」
「いや、もう少しゆっくりなさって…」
「いやいや、お父さんによろしくお伝えください。それじゃ失礼します」
玄関
「上川さん、今日はいいチャンスですよ、
奥さんともう一度よく話し合ったらどうですか?」
「ええ」
「それじゃ」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
# 渡さんの背負いリュック(バックパック)が印象的!(笑)
「理美…」
「あの人よく来るの?」
「うん、すごく世話になってる」
「ハァ…。人に迷惑ばっかりかけて、やっぱりあなたに子育ては無理ね。
悠斗早く私に返して」
「悠斗の気持ちはどうなるんだよ?
大人の都合であっちやったりこっちやったりじゃかわいそうじゃない」
「そんなことあなたに言われたくないわ」
「理美さぁ…」
「ママ!」
「お父さん、佐伯さん帰りました。お父さんによろしくと」
藤尾「そう」
「あっ、二階に布団ひいてありますから」
藤尾「うん。悠斗、一緒に寝よう」
「今日はパパとママと寝る!」
理美「えっ!?」
「理美、起きてるか?」
「起きてるわ」
(沈黙)
「これからの俺たちのこと冷静に話さないか?」
(沈黙)
「リビングで寝るわ」
「いや、いいよ、いいよ、いい、俺が行く」
# うーん、当事者が話し合わないといけないでしょうに…。
CM
リビングで三人の写真を見つめる亮平
「まだ寝てないのか?」
「あっ、お父さん。ちょっと考え事してて…、いや、仕事のことです。
寝付けませんか?」
「いや、ちょっと水を」
「水、水出しますよ」
「どうぞ」
「あぁ」
飲み終えて…、沈黙…
父「それじゃ」
「おやすみなさい」
悠斗の部屋で寝ている藤尾
ノック
「お父さん、ちょっといいですか」
「ああ」
「俺、ちょっと寝付けなくて…、一緒にどうです、一杯だけ」
酒とグラスを持ってきていた。
「ああ」
「あの…、
いや…、
ど…、どうです、旭川?
雪…、雪降ってますか?」
「いや」
(沈黙)
「いや〜」
(沈黙)
「俺寝ます。
いや…、すいません。
ちょっと…俺、親父がいないもんでどういうかこう…、
うまく話せなくて…。じゃ、おやすみなさい」
「ああ、ちょっと」
「はい」
藤尾は卒業証書を入れるような筒から紙を取り出す
「それは?」
「手術の同意書だ。
簡単に言えば、失敗しても家族は文句を言いませんってことだな。
署名してほしいんだ」
「えっ?」
「君に」
「いや、でも…」
「手術が成功しても、私の心臓はそう長くはもたんそうだ。
家内や理美に知れると大騒ぎするから黙っててくれ。
『女は現実とうまく折り合って生きていける』。
さっき佐伯さんにそう言われて安心した。
だが、理美のことは心配だ。
あれは小さい時から、言い出したら聞かないところがあってね。
私が、自分の人生で、たった一つ誇りに思っていることはね、
家族三人が、助け合って、仲良く暮らしてきたことなんだ。
だから君たちにも、そうあってほしい。
亮平くん、どうか娘を、よろしく頼みます(ペコリ)」
「お父さん…」
「フッ…、これだけ言うのに、六年もかかった」
# ウゥ…
「おはようございます」
藤尾「おはよう」
「パパ、会社行くの〜?」
「な…、当たり前だろ、何言ってるんだ、悠斗」
「悠斗、ほら、お弁当」
「わ〜」
「うまそうだね」
「うん!」
「悠斗、今日はじいじが幼稚園まで送っていくからな」
「うん!」
「さあ早くもっと食べろよ」
「うん!」
「それじゃ」
「手術の時は付き添うからね」
「大丈夫だ、来なくていいよ」
「あの、これ、昨日の…」
「ああ、ありがとう」
「何?」
「いや、なんでもないよ」
「また来てくださいね」
「ああ」
「悠斗、行こうか」
「うん。ママ、今日も一緒に寝ようね」
手をつないでいた悠斗の手が離れ、さびしそうな理美
「行ってきま〜す」
亮平と理美「行ってらっしゃい」
悠斗がしばらく歩いてまた言う。
「パパ、ママ、行ってきます!」
その後
「理美、ちょっと、一緒に出ようよ、話もあるし」
「いいのよ、そんなお芝居しなくて。
会社クビになったんでしょう、詩織から聞いたわ。
失業した父親には子育ては出来ないわね」
「さっきの悠斗との約束はどうするんだよ」
「約束?」
「うん、今日も一緒に寝るって約束したろう」
「あぁ」
「嘘ついたのか?」
「嘘じゃないわよ、悠斗を返してくれたら毎日一緒に寝られるでしょ。
それにあれは父の前でのお芝居でしょ?」
「芝居なんかじゃないよ。
悠斗やお父さんのためにもさ、俺たちもう一度やり直さないか」
「どうしちゃったの? 父のことあんなに嫌ってたくせに。
言っときますけど、父がなんと言おうと私の気持ちは変わりませんから」
「いや、違うんだよ、お父さんはな…、理美」
「もう、どうしてお父さんこんなときに来たのかしら!」
「えっ!?」
「父に優しくしてくれたことは感謝します、ありがとう(ペコリ)。
だけど…それと離婚の話は別ですから(キリッ!)」
洗濯して、掃除機をかける亮平。
タンスの上の指輪を見つける。理美が外して置いていった。
理美は職場で悠斗のことを思う。
悠斗が幼稚園から帰ってきた。
「ママ! ただいま〜!
ママ〜? ママ〜? ママ〜?」
探し回る悠斗をつかまえる亮平
「ママは?」
「悠斗…、ママ、帰ってこないんだ。
じいじにね、心配させたくなかったから、悠斗に嘘ついた。ごめんな。
本当にごめんね」
「もういいよ」
悠斗はプランターに水遣りをしている
「離婚調停してください」
弁護士「本気なのね?」
「一刻も早く悠斗を取り戻したいの。お願いします(ペコリ)」
亮平宅では、なにやら郵便が届いた。それを見つめる亮平。
それは父が撮ってくれた写真だ。
『お世話になりました 藤尾克治』と書き加えられた、
亮平と理美と悠斗が仲良く写っている写真の葉書。
# 亮平は何を思う?
☆
キャスト
上川亮平(竹野内豊)
上川理美(石田ゆり子)
津久野仁志(劇団ひとり)
木下美帆(さくら)
浅野由美子(清水由紀)
サブちゃん(金橋良樹)
上川悠斗(宇都秀星)
民子(梅沢昌代)
藤尾克治(夏八木勲)
宿本和則(金子昇)
古葉詩織(木村多江)
佐伯晋一郎(渡哲也)
脚本 清水有生
演出 高橋伸之
第四話「妻VS夫!!最後の家族写真」
渡哲也、220キロ巨大マグロ釣った!テレ朝系ドラマ「マグロ」
http://www.sanspo.com/geino/top/gt200611/gt2006110900.html
テレビ朝日系新春ドラマスペシャル「マグロ」(来年1月4、5日放送予定)
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コロムビアミュージックエンタテインメント 2006-12-20